すっきりと眠気の晴れた心地よさは、夜中に起きて墨をすらせた。
どうとでも勝手になれという心を一人恐れる。
荒野を行く汽車のようにこの悩みは時々心を通っていく。
真夜中の屋根に出て、瓦の冷たさに手先を冷やした。
ふと己の墨に汚れた手を見る。
ちょうどこのごろの自分の心に向かうようだ。
流れ星。
うっとりと、すべてを忘れる気がする。
腹の底から欠伸をする。それもまた良し。
眠れない癖の悲しいこと。
眠気が差せば、うろたえて寝る。
朝日。
しらじらと辺りが明るくなってきた。
目を開けると、いつもの屋根裏。
この部屋はこんな部屋だったのか。
なんだかはじめてみるような新鮮さを感じる。
きっと己はちっともこの部屋を見てはいなかったのだと思った。
天井に細かい木目や傷がある。
床には何かをきひずったような跡。
柱の爪あと一つ一つまで鮮明に見える。
気分は悪くない。
しかしまだ体には感覚がない。
小鳥のさえずりが聞こえる。これは良い振動だ。
歌を歌った。
この歌をどこで知っただろう。歌というよりもこれは音だ。
頬に暖かな光を感じる。
夜明け。
山々の稜線が燃えている。
群青色の空にオレンジの陽光が輝いている。
世界はあかあかと照らされ、暖められた空気は湿気を帯びて湧き上がる。
土の中に生きている無数の生物の匂い。
それだけではない。川からも、樹木からも、下からも。むせかえりそうだ。
腹いっぱいに空気を吸ってみる。
それはなまもののような空気だった。
けれど決して悪臭ではない。
メールの音で夢が破れました。
朦朧としながら画面を見ると、見知らぬ広告のよで御座りました。
拙者は思わず天を見上げてしまったのですが、そこに天井などありませぬ。
木陰の狭間から一面の星空が見えまする。
また、結社でそのまま寝てしまいました。
戻らなければなりませぬね。
お掃除もありますしなにより、よく見ておこうとそう思いましたゆえ^^
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